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【2分で分かる書評】落合陽一著 日本再興戦略

Amazon Prime ReadingおよびUnlimited Readingの対象となっている、落合陽一著『日本再興戦略』の書評。

「現代の魔法使い」と称される稀代の天才、落合陽一氏の著書。発売初日に8万部を突破し、現在(2019年8月)は12万部を突破。『情熱大陸』では、カレーをストローで吸うシーンがフォーカスされていて、奇人・変人?のイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。筑波大准教授、デジタルネイチャー推進戦略研究基盤長、ピクシーダストテクノロジーズCEO。メディア藝術家、一児の父、等々の無数の肩書を持つ同氏だからこその視点で描いた日本再興の戦略、グランドデザインについて、具体例を多用し一般的な読者にも読みやすい形で紹介しています。

 

1.欧米と日本

欧米という固定観念を打破し、独特な歴史を持つ稀有な国、日本にとって、戦後70年以上経ち、令和の新時代に向けた今、何を軸として何を取り入れるかを提示。

  • 中央集権体制は高度経済成長期には都合が良かったが、日本古来の地方分権体制とは相性が悪い。
  • 士農工商という一種のカースト制度は、自由がなく不幸な制度ではなく、安心かつ康寧で、価値を生み出す者が重要視される自然体な統治制度であった。
  • 中でも百姓(百の生業を成す者)は、社会の中でコモディティー化されることがなく、拝金主義にとらわれない市場における希少価値に重きを置いた生き方。

 

2.テクノロジーの活用

AIやブロックチェーン、自動運転、AR・VRの技術が日常生活のクオリティをどのように向上させるか、我々人間はどのように技術を生かすかを基本的な用語の解説を交えて紹介。

 

3.日本再興のグランドデザイン

本著の主旨。先進諸国の中で最も早く人口減少や少子高齢化といった社会問題に直面する日本だからこそ、技術を生かした社会課題への取り組みを成功させ、そのソリューションを海外へと輸出すべきであり、悲観的になることは全くないと主張。

 

4.政治、教育、会社・仕事・コミュニティ

地方分権と共存する中央政府地政学上の在り方、米国・インドとの協調、従来のカリスマ的なリーダーではなく、共感性が高く象徴性を兼ね備えた後発育成型リーダーによる主導の必要性を強調。画一的な人材を生み出す教育の廃止、個性を伸ばし、市場価値を高める教育の推進を助言。ワークアズライフ、仕事とプライベートの境界をなくす百姓的な働き方、平等と公平を明確に区別した社会を提言。

 

「ポジションを取れ。批評家になるな。フェアに向き合え。手を動かせ。金を稼げ。画一的な基準を持つな。」と語る著者は、自らも思考と行動を同時進行し、自らの考えに共感する同志を増やしてきた。悲観的になる前に、固定観念に囚われない型破りな方法で有言実行を繰り返す著者の今後に大注目。あらゆる読者層にとって学びの多い一冊。

 

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